虹彩異色症の女神さんは2人の炎に愛されました【エース・サボ】
第7章 ゴーゴンの覚醒者
『エルさん元気かな』
「ん?」
『私の憧れの人よ』
「ふーん」
かっこいいのよ、彼女は。
2本の剣を巧みに操って戦うのよ。
憧れてたんだわ。
ずっと。
「お、男か?」
エースが何故かエルさんの性別を聞いてきた。
何でそんなこと知りたいのだろうか。
アリスは首を傾げた。
『女性よ、旅人なの』
「な、ならよかった」
『慌てないでよ、たとえ男の人だったとしても私が8歳のときに出会ったんだからかなり年の差はあるはずよ』
「そういう問題じゃねェ!」
『どういう問題なの?』
「俺はお前が好きだからよ・・・その、他の男のこととか聞くの嫌なんだぜ?」
『したとしても父や弟たちの話だから大丈夫よ』
嫉妬してくれたの?
そうだとしたら嬉しいわ。
本気で私を想ってくれているんだもの。
『嫉妬・・・』
「なっ!!ちげーよ!!」
『ふふふっ』
「嫉妬なんかしねェ!」
『嘘』
「だー!もう!!そうだよ、嫉妬だ!悪いか!!?」
『悪い?寧ろ嬉しいわ』
中々示してくれないんだもの。
あなたって恋愛ベタなのかしら?
アリスは長い髪を耳にかけた。
エースはその仕草にドキッとする。
煩悩が・・・。
「お、俺の前でそんなことすんな!」
『何で?』
「何でってお前・・・」
『私の何が嫌なの?』
「は?」
こいつ、何か勘違いしてねェか?
その仕草が嫌なんじゃない。
俺の理性はほぼ限界なんだ!
なんとかしてるけど2人っきりになったら俺は何仕出かすか分かんねェぜ?
「お、俺の理性の問題だ!」
『あぁ』
「何か反応しろよ・・・」
『何で?嫌じゃないもの』
「お前・・・本気で言ってんのか?」
『エースになら』
「ッ・・・」
マジで勘弁してくれ・・・。
俺を殺す気か!
エースは片手で顔を押さえた。
呆れているわけではない。
「まだ・・・大丈夫だ」
『残念』
「なんて奴!?」
『冗談に決まっているわ』
「何だ・・・」
アリスはエースの手を引いて街を進む。
エースも特にほしものはないらしく、店を素通りしていく。
すると、ある店を通り過ぎようとしたとき、
声をかけられた。
「ここの本、処分するから持っていきなよ!」