虹彩異色症の女神さんは2人の炎に愛されました【エース・サボ】
第6章 砂漠の国と
ストライカーで海を滑る2人。
「なぁ、アリス」
『何?』
「いやっ、ほら・・・昨日は悪かったなって・・・」
『別に・・・エースが悪いんじゃないし・・・』
謝らないでって言ったのに。
エースは申し訳なさそうにアリスを見ている。
「でもさ、俺ちょっと・・・」
『いいの、私は後悔なんかしたくないわ』
「俺さ、本気でどうかしてるよな」
『どうかしてるのは私も同じよ』
「は?」
『ちょっとね、嬉しかった』
好きだったから。
怖くなんかなかったわ。
どんなあなたも愛すると決めたんだもの。
「俺のこと怖くなかったのか?」
『怖いわけないじゃない』
「そっか、ならよかった」
『ふふふっ』
エースは笑って前を向いた。
「ちょっくらスピードあげっぞ!」
『どうぞー』
エースは足元をさらに燃やしてスピードを上げた。
アリスは飛ばされないようにしっかりと周りの木を掴んだ。
どんどん上がっていくスピード。
『ちょ、ちょっと出しすぎじゃない?』
「そっか?」
指摘されて少しスピードを落とした。
と、見えてきたのは島だった。
『ね!あれ?』
「あー、そうだな、あれがアラバスタだ」
『本当に砂漠がある!』
「そりゃあな」
もうしばらく進んだ。
近づくと街があるのが分かった。
アリスは身を乗り出して見る。
「危ねェぜ?」
『大丈夫よ、私は落ちても泳げるから』
「そういう問題じゃなくてなぁ・・・」
『それに、落ちないわよ』
エースは小さな港へ降り立った。
アリスも続いて降りた。
「どうする?分かれていくか?」
『この前みたいになったら嫌だから一緒にいるわ』
「そっか」
以前立ち寄った島で、アリスは海兵に襲われかけたのだ。
アリスにとって軽いトラウマとなっていた。
海兵に告げられた衝撃の事実。
政府によってリヴィア王国が滅ぼされたこと・・・。
「じゃ、とりあえず飯でも」
『よく食べるね』
「食わねェと力出ねェぞ?」
『そうだけど・・・』
いくらなんでも食べすぎだと思うわ。
アリスはエースが諦めるわけがないのを知っている。
だから仕方なく食事をとることにした。