虹彩異色症の女神さんは2人の炎に愛されました【エース・サボ】
第5章 #気づいたら・・・
「おっさん!代金ここ置いとくよ!」
「まいど~!!」
宿を目指して店を出た。
ドクン…
「え・・・」
『どうかしたの?』
「あ、いや・・・」
気のせいか?
何か俺変な気分になってきた・・・。
ドクン…
!!
「っく・・・」
『大丈夫なの?』
「俺・・・どうなってる?」
『どうって・・・』
気分が変だ。
なんか盛られたか?
もしかして・・・
媚薬・・・!!
だったら納得がいく。
あのおっさん・・・いや、違う。
おっさんはそんなことしそうじゃねェ。
脅されて・・・?
「いたぞ!火拳のエースだ!」
「ッチ、そういうことか・・・」
『エース!!』
「俺に近寄るな」
『え?』
「賞金稼ぎだ」
「あいつは動きが鈍くなってるはずさ!酒屋のおやじを脅して媚薬を盛らせたからな!!」
『なっ・・・』
アリスはエースから身を引いた。
でも、エースは戦えない。
だったら私がやるしかないよね。
『warlua・vafacku』
青白い光を出現させる。
賞金稼ぎたちは気付きもしない。
ふふふっ、殺してやる・・・。
エースに手を出す奴は許さない。
光を握った。
「ぐあぁぁぁぁぁ!!」
もがき苦しむ男たち。
アリスは残酷な笑みを浮かべた。
楽しい、楽しい、楽しい。
みるみるうちに右目が赤く染まった。
そして一気に握り潰した。
「あ゛・・・」
死んだ・・・。
なんて無様なの。
アハハ。
かっこ悪い。
「・・・アリスっ!」
『!!』
エースに腕を掴まれてハッとする。
アリスはその手に込められた力に顔を歪めた。
強い。
かなり我慢はしているようだが痛みを感じるほど強く握られていた。
どうしよう。
媚薬って言ってたよね。
「お、俺・・・お前といたら・・・」
『とにかく来て!』
エースを引っ張って宿まで連れて行った。
「部屋から出ろ・・・」
『・・・』
深刻な表情でエースを見つめるアリス。
苦しいはずなのに・・・。
やっぱり優しくて強いんだ。
でも。
もう、いいよ。
『楽になりたいんでしょ・・・』
「出ろ!!」
『いいよ』
「ッ!!」
『後悔しないから』