虹彩異色症の女神さんは2人の炎に愛されました【エース・サボ】
第5章 #気づいたら・・・
『ふふふっ、』
「ん?」
『何かエースといるの楽しいなって』
「んだよ、いきなり」
エースはマジマジとアリスを見つめた。
アリスは笑って見返した。
別に恋に奥手なわけでもない。
自身の気持ちを隠したいわけでもない。
「俺も、お前と一緒にいるようになってから楽しくなった気がする」
『私ね、後悔したくないって思ってるの』
「なんだぁ?」
『後でこうしとけばよかった、なんて思うのが嫌いなの』
「それは俺もだ」
アリスは笑って答えるエースに見惚れた。
そして実感する。
(本心でエースが好きだって思えるんだ・・・)
その太陽の笑顔が好き。
どんな闇も照らしてくれるような貴方が好き。
優しく強い貴方が・・・好きなの。
『どんなだろう・・・』
「え?」
『いや、何でもない』
「なんだよ」
『教えなーい』
エースは不満そうにスープに手を出した。
半分くらい飲んだだろうか。
いきなり倒れるように寝始めたエース。
「お、おい、大丈夫かい?」
『彼の癖だから心配ないよ』
「変わった癖なんだね」
『でしょ?』
出会って数週間。
何度目だろう。
エースが食事中に居眠りしたのは。
もう見慣れていた。
最初はビビッたが・・・。
「んあ!!わりぃ、寝てた」
『知ってる』
「起こしてくれよー」
『気持ちよさそうに寝てるんだもん』
「仲がよろしい恋人だねぇ」
「ぶっ!!」
店主の言葉で噴出すエース。
同様すらしないアリス。
「違うのかい?」
「違うっておっさん!ビックリしたよ!!」
「そうかい、悪かったね」
『別に?』
平然と呟くアリス。
エースはあんぐりと口を開いたままアリスを呆然と見た。
「おま、そういう時は否定しろよ!」
『何で?』
「何でってお前・・・」
『私は全然気にしないけど』
「しろよ!」
だって嬉しいじゃない。
勘違いでもそうやって見られるのって。
だからさ・・・
もう言ってもいい?
『いいじゃない、私、エースが好きだし』