虹彩異色症の女神さんは2人の炎に愛されました【エース・サボ】
第4章 #大切なもの
ホリシア島という島国へ着いたエースとアリス。
2人は別々に行動することにした。
待ち合わせは午後3時半にあわせた。
アリスは別にどこかへ行きたいわけではない。
ただこの国は温泉が有名だというのでそこへ向かうことにした。
肌を刺す冷たい風に身を震わせて・・・。
『冬用の服も買っておいたほうがいいのかも・・・』
エースは袖の長いコートを着ていたっけ?
私も長袖だけど薄いしな・・・。
温泉に行く前にコートを購入することにしたアリス。
この島はそこまで寒くはない。
ただドラム王国は万年雪に覆われている完全な冬島だという。
買っておいても損はしないだろう。
コートを購入したアリスは今度こそ温泉街へ向かった。
さきほどの寒さが嘘のように温かい。
コートに体を寒さから守られながらアリスは歩いていった。
一方エースは黒ひげの情報を捜索していた。
多分有力なものはないだろう。
先日、ドラム王国を襲撃したと言う情報が入ったばかりなのだから。
本当ならこんなところに来ているはずがない。
「あ、そういえばあいつ寒くねェかな?」
アリスが厚着でないことを思い出す。
でもアリスは考えられる女だし。
そこまで遠慮深いわけでもない。
心配することはないだろう。
俺もやきが回ったか・・・?
ったく、一体どうしちまったんだよ俺は・・・。
エースは小さく頭を振ると再び情報集めに取り掛かった。
アリスは露天風呂を満喫していた。
普段ならこんな風に寛ぐこともままならない。
でもアリスはエースと出会って2日で変化を見せた。
怖がりでも強がりでもなく、ただ暗い。
そんな性格はだんだん明るくなってきたのだと。
だからこうして人目を気にせず温泉にだって入れるのだ。
「あなた髪長いし綺麗ね」
『・・・あ、ありがとう』
「わーっ!すっごい!!」
こうして会話もなんとなくできる。
自分が嫌いだったアリスはだんだんと自分自身を愛せるようになってきた。
たった2日でこうも変われるなんて・・・。
エースのせい・・・おかげかもね。