虹彩異色症の女神さんは2人の炎に愛されました【エース・サボ】
第3章 私は自由
「もっと食え!」
『いらない』
「食えって言ってんだろ!?」
『食べれない』
アリスは必死にお皿を押し返す。
皿には大量の料理。
こんなの食べたら胃もたれ起こしちゃうよ。
「はぁ・・・仕方ねェな、じゃああとこんだけ食え!」
『え・・・』
「頼むからさぁ!死んじまうよお前」
半分以下に減った。
まぁこれなら食べられるだろうと受け取った。
でも美味しいことには美味しい。
食べられないくらい不味いんじゃない。
「旨いだろ!」
『・・・はぁ、まぁ』
食べ終わった頃にはエースはすっかり居眠りしていた。
アリスはエースに布団をかけて料理を片付けた。
そして片付けも終わるとベッドに潜り込んで眠りについた。
ちょうどその頃にエースが目を覚ました。
エースはかけてあった布団をもってアリスの隣のベッドに身を投げた。
そして眠りにつこうと思っていたのだが、アリスの寝息が聞こえてきて眠れない。
(あ~!!もう!!)
またしても煩悩との戦い。
エースは枕で耳元を覆う。
それでも気になるものは気になるのだ。
エースはそのまま煩悩と格闘していくうちに気づいたら布団を落としていた。
それを拾おうとしたその時。
『・・・あぁ・・・死なな・・い・・・・・で』
「ん?」
アリスの寝言が聞こえてきた。
エースはそっとアリスに近寄った。
アリスは額に汗を浮かべて魘されている。
「だ、大丈夫・・・だよな」
エースはそっと額の汗を拭ってやった。
そしてその額にキスを落とした。
愛おしい・・・。
そんな感情が浮かび上がってくる。
そんな中、アリスが薄っすらと目を開けた。
「大丈夫か?魘されてたようだけど」
『あ゛・・・』
掠れたような声しか出ない。
エースはそんなアリスを力一杯抱きしめた。
アリスはその力に身を任せた。
「はぁ、どんな夢見てたか知りたくねェが・・・辛いんならもう一人で抱え込むなよ」
『あ、ありがとう・・・』
「大丈夫だ、俺が守ってやるから」
『10年前の・・・夢、何度も見る』
「そっか、辛いな」
同情してくれなくていいよ・・・
辛いだけだから。