虹彩異色症の女神さんは2人の炎に愛されました【エース・サボ】
第3章 私は自由
「寝れるか?」
『多分無理だと思う』
「だ、駄目だ!頼むから寝てくれ!!」
『え・・・』
「俺が大変なんだ、いろんな意味で」
『あぁ・・・そういう』
「だからさ、ほんとにっ・・・」
『別にどうなっても構わない』
「は?」
私をどうにでもすればいい。
だって後悔する理由がないから。
何でもいいから。
「お前さ、それが何を意味してるか知って言ってんのか?」
『知ってるし別にいいって言ったから・・・』
「いや・・・俺はまだ煩悩に負けてねェぞ?」
『そ、なら寝ていいよ、私は気が向いたら寝るから』
アリスはベッドに腰掛けた。
「いや、俺はそうされてても困るんだよ・・・だから横になっててくれ!」
『・・・分かった』
アリスはベッドの上で横になった。
エースは布団を拾って自身にかぶせた。
そして何とか眠ろうと目を瞑った。
そうしているうちに睡魔が襲い、エースは眠りに落ちた。
アリスもそのまま目を瞑った。
『・・・ス、エース』
エースはアリスの声で目を覚ました。
だがまだ寝ぼけ半分なエースはアリスを引っ張ってベッドに引き入れた。
『!!』
アリスは身を固めた。
エースはアリスを抱きしめたまま再び眠ろうとした。
『ちょっ、寝ないで!』
「ん~・・・」
『エース!』
エースはハッとなって飛び起きた。
そして胸に収まったアリスを見て驚いた。
しかも少し頬が赤くなってる。
「ごっ、ごめん!」
『大丈夫だけど・・・』
「本当に悪い!俺寝起き駄目なんだ」
『そう・・・』
エースはベッドから降りてアリスに手を差し出した。
アリスはその手を掴んで同じくベッドから降りた。
掴んだその手は以前より熱かった。
「飯食って行くか!」
『えっ、また食べるの?』
「慣れてくれよ・・・俺は一日3食以上は食うぜ?」
『信じられない・・・』
「食べてればいっぱい食えるようになるからさ!」
『・・・』
アリスはもう、エースを心のどこかで許していた。
エースを心から信用できる気がした。
失くしたくない”何か”を再び手にできたのだ。
エースは私の大切な人・・・。