虹彩異色症の女神さんは2人の炎に愛されました【エース・サボ】
第3章 私は自由
「もったいねェよ、綺麗なのに」
『これは・・・』
「取れよ、せめて俺の前だけでもよ!」
アリスはそっとフードを降ろした。
大丈夫、赤くなってないはずだから。
「こうやって顔をよく見ると可愛いな」
『もう・・・いい?』
「ダーメっ、俺の前ではとっておくこと・・・2人だけのときだけ」
エースは再びフードを被ろうとするアリスの手を止めた。
どこにも欠点がないくらい美しいというべきか・・・
エースは鼓動が高まるのが分かった。
「てか、お前懸賞首かなんかか?」
『いえ・・・』
「じゃあ何で顔隠すんだ?」
『それはっ・・・』
覚醒するから・・・なんて言えない。
じゃあ何て答えたらいいの。
目の色が変わるから?
でも、どうせずっといるんならいつかはバレてしまうはず。
だったらここで打ち明けてしまおうか・・・。
『私は・・・覚醒というものをすると目が赤くなる』
「覚醒ッ!?」
アリスは説明した。
10年前に起きたこと、覚醒したことを・・・。
エースは只管理解しようと耳を傾けた。
「虹彩異色症かぁ・・・」
『え・・・?』
「ん?いや、そのオッドアイのこと」
『そういうんですね』
「っていうかオッドアイっつーのは家畜とか動物にしか本当は使わねェんだぜ?」
『知らなかった・・・』
「気にすんなよそんなこと」
エースはアリスの髪に触れた。
まるで死に際にそうした父のように・・・
「・・・」
『?』
「あっ、いや綺麗だなって・・・」
エースはブロンドの髪を見て思い出していた。
海に散った兄弟を。
サボ・・・
サボも同じ金色だったっけ?
『髪の毛・・・嫌いなんです』
「えっ!何で!?」
『目立つし・・・』
私だけだったから。
家族の中で、先に死んでいった母の髪色を受け継いだのは私だけだったから。
母は5歳の頃に亡くなって、新しい継母は優しくしてくれたけど、きょうだいたちはみんな茶色や黒だったから。
「俺好きだな・・・この色」
『え・・・』
「死んだ兄弟も・・・同じ色だったんだ」