第1章 初夜
「躰の調子はどうだ?」
「少し・・・だるいです」
「では薬を飲んで、少し寝ていろ。夕餉を用意してくる」
「ありがとうございます」
は言われた通りに薬を飲むと、またすやすやと眠った
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どれくらい眠っていたのか・・・美味しそうな匂いで目が覚めた
「腹は減ったか?」
「・・・はい、少し・・・」
「ではこれを食べろ・・・口に合うかはわからないが・・」
そう言って犬神が差し出してきたのは卵の入ったお粥だった
「わ・・・おいしそう・・・」
「・・・もう少し・・・」
「え?」
「もう少し、警戒心を持て。私がお前を食べようとしていたらどうするんだ?」
「・・・そうなんですか?」
「いや・・・」
「犬神様は私を救ってくれたではないですか・・・
それで信頼するには充分です」
がニッコリとほほ笑む。
「・・・そうか。は変わってるな・・・」
「そうですか?」
「ああ・・・」
「ふ~・・ふ~・・はふっ・・・んっ・・・おいし・・・」
「ゆっくり食べろ・・・足りなければ持ってくる・・・」
「これは犬神様が作ってくれたのですか?」
「・・・いや・・・」
「他にもだれかいらっしゃるんですか?」
「・・・ここは村の奥にある妖怪の里だ。
俺の他にも妖怪はいる。・・・だから気をつけろ・・
人間を喰らう妖怪もいるからな・・・」
「・・・・」
「俺の家にいる間は安全だ。俺のテリトリーに入ってくる馬鹿者はいないからな」
「・・・ありがとうございます」
「なんだ?」
「守ってくれて」
「・・・っ別に・・・
喰ったら寝ろ」
「はい・・・ご馳走様でした。
とてもおいしかったです、と伝えてください」
「・・・おまえも本当の姿を見れば恐れおののく・・・
そして逃げて行く・・・」
「犬神様?」
「皆一緒だ・・・」
「犬神様・・・本当の姿を見せてもらえませんか?」
「・・・見てどうする?」
「それは犬神様がお決めください」
「・・・何?」
「私を見て・・・何にそんなに怯えているのですか?
犬神様がどんなに恐ろしい妖怪の姿になったとしても私は逃げ出したりしませんっ」
は犬神の頬を優しく手で包む
「・・っ、いいのだな?本当に・・・・・」