第1章 初夜
「犬神様、をあの部屋に閉じ込めておくのは可哀想ですから、屋敷を案内して差し上げたらどうですか?」
「そうだな」
「あ、じゃあ先にお風呂に入っても?
昨日から入ってないので・・・その、匂いも気になるし・・」
「そうか?」
犬神はクンクンとの匂いを嗅ぐ
「やっ・・・やめてくださいっ」
「は相変わらず良い香りがする・・・」
「も、離れて・・・」
「ったく、さあ湯殿へ案内してあげてくださいな」
「こっちだ」
は青女坊に新しい着物を受け取り、湯殿へ連れてこられる
「あの・・・」
「なんだ?」
「ずっとここにいらっしゃるつもりですか?」
「駄目か?」
「駄目ですっ・・・はずかしいから・・・」
「くくっ・・・お前は本当に可愛いな・・」
「もう早く出てください」
「わかった。出る頃に迎えにくる」
「もう大丈夫ですからっ」
脱衣所から犬神を追い出すと、広々とした湯船に浸かる
「わぁ~・・・気持ちいい・・」
ん~・・・と伸びをして温泉のようなお風呂を楽しむ
と木の格子窓から三つの目がこちらを見ているのが視界に入る
「きゃあっ」
「・・・お前誰だ?くんくん・・・人間か・・・?」
「あ、あなたは・・・?」
「オレ、三つ目小僧・・・」
「な、何してるの?」
「人間の匂いした・・・」
「あ・・・」
「っ!大丈夫か?」
ガラリっと勢いよく戸が開いて犬神がたっていた
「あ、大丈夫・・・ちょっとびっくりしただけで・・」
「どうし・・・三つ目か?」
「ありゃ?犬神様。それ犬神様の?」
「この娘はだ。今、屋敷で預かってる・・・って風呂を覗くんじゃない!!!」
「ひぇぇぇんっ」
三つ目は犬神に怒鳴られてスタコラと逃げて行く
「犬神、様・・・怒鳴らなくても・・・まだ子供なんだし・・」
「・・・三つ目は456歳だ。ま、妖怪の中では子供か?」
「え?456・・・歳?」
「そうだ」
「・・・ちなみに犬神様はおいくつなんですか?」
犬神は人間の姿になるとそのまま湯船に入ってくる
「ちょ・・・犬神さ・・・」
「最初からこうしていればよかった・・・」
犬神はを後ろから抱きしめるように湯船に浸かる