第5章 100万回言うよ
今日、僕の呼び名が二つ増えた。
『総司さん』と『父様』……
そんな事がこんなに幸せだなんて、僕は初めて知ったよ。
全て有希ちゃんのお陰だ。
相変わらずお互いに身を寄せ合って、僕ははしゃぎ続ける総介から目を離さないまま言った。
「今まで……沢山泣かせてごめんね。」
「いいえ。そんな事……」
「ずっと僕を好きで居てくれてありがとう。」
「……はい。」
「君が不安な時に一緒に居てあげられなくてごめんね。」
「…………総司さん。」
「それから…僕をこんなに幸せにしてくれて、本当にありがとう。」
「……………っ」
有希ちゃんの肩が小刻みに震え出す。
「また……泣かせちゃったね。ごめん。」
僕が有希ちゃんの後頭を優しく撫でると、有希ちゃんは僕の肩に顔を埋め泣き声が漏れ出さないように耐えていた。
その熱い吐息を感じながら、僕は思う。
君にどれだけの『ごめんね』と『ありがとう』を伝えれば足りるだろうか?
きっとどれだけ言っても足りやしない。
だから………百万回言うよ。
今日も明日も、明後日も……
君が呆れるくらい。
『愛してる』って百万回言うから……
ずっと僕の隣で聞いていて欲しい。
「有希ちゃん……愛してるよ。」