第4章 僕の風が今変わった
「だから、お前の最期は有希に看取らせてやれ。」
風間にそう言われても、まだ僕は迷っていた。
あんな風に有希ちゃんを突き放した僕が、今更また有希ちゃんの側に居られるなんて許されるの?
そんな僕の想いを悟ったのか、風間は少し居住まいを崩して溜め息を吐いた。
「正直に言えば…有希を奪って仕舞おうと幾度も考えた。
無理矢理にでも身体を奪って仕舞えば、俺に情が移るだろう……とな。」
風間に抱かれる有希ちゃんの姿を想像した僕の胸がぎりぎりと音を発てる。
そうなっても構わないと風間に有希ちゃんを託した筈なのに、やっぱりそんな事は絶対に嫌だったんだ。
「だが……」
話を続ける風間の顔を、僕は睨み付けるような目で見つめた。
「お前の身を案じ、お前に会いたいと
毎夜のように涙を流す有希の身体に触れる事など
出来ようも無かった。」
「…………じゃあ…」
「ああ。
有希の身体も心も今だお前だけの物だ。」
そう言って風間は少し寂しそうに笑った。