第10章 半径
『じゃあ、卒業ってことで、乾杯。』
「乾杯。」
お酒を呑みながら、2年間を振り返ってるうちにもう夜になってしまっていた。
私はお酒がそんなに強いわけじゃないから、アルコール度数の低いお酒をちびちびと呑んでいた。
「篠田、だいぶ呑んでるけど大丈夫?」
彼はもう酔っているようだった。
『ぜんぜんだいじょうぶー。』
酔い始めて、ふわふわしている彼も少し可愛い。
自然と笑みがこぼれる。
『大城、これめっちゃうまいよ、のんでみなよー』
彼が勧めてきたのはアルコール度数の高いお酒だった。
大丈夫かな…と一瞬迷ったが一口もらうことに。
「じゃあ一口だけ…」
と瓶に手を伸ばすと彼はすっと瓶を引いて自分の口に含んだ
「えっ、やめてよ意地悪………
視界が彼で埋まった。
これって
口移し!?
彼に頭を押さえられていて動けない。
私の口の中に注ぎ込まれたお酒を飲み込む。
すると彼の口が離れた。
顔が熱い。
お酒のせい?それとも彼のキスのせい……?