第9章 通学電車
そして次の日、ドッキドキしている胸を必死に落ち着かせながら駅につく。
やっぱり今日もあの彼がいた。
昨日のお礼を言うために勇気を出して声をかける。
「あっ、あの、昨日はありがとうございました………!!」
『あっ、いや、いきなりごめんなさい。』
「いやいや、本当に助かりました。」
しばらくの沈黙
『………いつも、一緒ですね。』
「そう……ですね。」
各駅に乗り込み、まだなお彼が目の前にいる。
こんな幸せあるだろうか。
ガタン
(え…)
急にカーブした拍子に彼は、私の背中にある電車のドアに手を付いた。
これって
壁ドンとかいう………!?
さらに近くなってしまった彼の表情を見ると少し色っぽく感じる……
余計かっこいいな。
あれ、いつ離れるんだろう……
心臓がもたないよ………
その瞬間、彼の唇が私のに重なった。
「っ……!?」
『ずっと気になってた。君のこと。』
「えっ………?」
『こんなことして、俺もあの痴漢おやじと同じだよな………』
そう呟くと私から離れて髪の毛を恥ずかしそうにくしゃくしゃする。