第9章 通学電車
まず最初に乗る各駅停車はそこそこ空いていて、遠くにいる彼も見つけられるほどだ。
これも日課。
(あっ!いた!!)
今日もその彼の制服を見つける。
たぶん、きっと、私と同い年の高校3年生。
背が高くて、脚が長く、スクールバックをリュックのように背負い電車に乗る。
でも彼の名前も知らないし、それどころか学校すらもわからない。
(なんもわかんないんだなー、彼のこと。)
そう考えながら彼のことをぼーっと見つめていたら、
ばちっと視線がぶつかる。
お互いにすぐそらしてしまうが、私はずっとドキドキしてる。
彼ももしかしたらドキドキしているのかも。
なんてありもしないだろう妄想はやめておこう。