第6章 バイト
次のシフトは、佐々木さんと一緒だった。
平日のお客さんが入らない時間帯で暇なとき、珍しく佐々木さんから話しかけてくれた。
佐「咲羅さん、秋斗くんと仲良いよね」
「そうなんです!中学校の同級生で、いきなり来たからビックリしました!」
佐「そうなんだ、好きなの?秋斗くんのこと」
「へっ?いやっ、好きじゃないですよ、今は。」
まずい、口が滑っちゃって“今は”とか言ってしまった。
佐々木さんは少し近づいて
佐「へえ、昔好きだったんだ…?」
こんな佐々木さん初めて見た。少し怖い。
その時コールが鳴った。
佐々木さんはお伺いいたします!と言って爽やかに私の前から去っていった。
すると厨房の中から秋斗が私を呼んだ
秋「今佐々木さんとなに話してたんだよ」
「いや、別に、世間話」
秋「ウソつけ、ほら早く帰るぞ」
気付くともう上がりの時間になっていた。
「お疲れさまでーす」
そう言って私に微笑みかけた佐々木さんは、いつもの佐々木さんだった。
(さっきのはなんだったんだろう。)