第5章 文化祭
前日準備で先輩に会えたのは本当に嬉しい。
きっと焼きそば食べに来てくれる!
私はるんるん気分でせっせと材料を調理室に運んでいた。
その時横からひょいっと重い材料が横取りされた。
「ほあっ!?」
「こんな重いもん女の子に持たせて、咲羅ちゃんのクラスの男子は気が利かないな~。」
「直人先輩!?さっきすれ違ったばっかりじゃないですか!なんでいるんですか!?」
「いたら悪いかよw咲羅ちゃんがふらついてたから戻ってきたの。」
「大丈夫です先輩!ぜんっぜん重たくないんで!」
私は材料を先輩から奪おうとした。
だがさすがに高3男子vs高1女子なわけで、勝てたもんじゃない。
「いいのいいの、俺がしたくてやってるんだから。」
そう言って頭をぽんと撫でる。
あ、あの時と同じ手。
先輩のドラムは激しくて、ダイナミックで、強くてかっこいいのに、そのドラムを叩く手とは思えないほど私の頭を撫でる手が優しい。
そんなことを考えてドキドキしているうちに、前日準備は終わりの時間になっていた。