第2章 期間限定同棲体験
*Thursday*
「っくしゅん」
朝っぱらから狂ったようにくしゃみが止まらない。
「くしゃみ止まんねぇみたいだけど、風邪引いたろ。」
「引いてない。」
「絶対引いた。だから昨日の夜もっと着込めって言ったろ。それなのに咲羅、『大丈夫大丈夫』って……どこが大丈夫なんだよ……!」
「だから引いてないって……っくしゅん」
「強がんなよバカ。」
そう言って私の腕を引き寄せておでこに手を当てた。
「わっ。」
「わっ。じゃねえよ、熱あるじゃん。なんで学校休まなかったんだよ…いや、一人で家に寝かせておくのも心配か…あーもうどうすればいいんだよ。」
「大丈夫だから放っておいてよ」
私は龍星の手を振り払った
……はいいが同じクラスなことが難点だ。結局は龍星の視界に入る私は一日中心配され続けた。
家に帰ると、龍星が色々やってくれた。
もちろんご飯も。
美味しいとは言えないが。
早く寝ろと言われてしまったのであと一日頑張って学校に行くために布団に入る。
生まれてすぐに私は小児喘息を患った。
それは龍星もチビの頃からの付き合いなので知っている。
遊ぶたびにお母さん達に、「苦しくなったらすぐ言うんだよ」「あまり走りすぎちゃだめよ」「龍星も男の子なんだからしっかり助けてあげるんだよ」そう言われ続けていた。
大人になればその特別扱いからも解放される
そう思ったが
私の喘息は治らなかった。
今でも風邪を引くとたまに発作が出る私は、親たちの心配の種だった。
(なんで治らないの……)
私は眠りについたみたいだが知らずのうちにうなされていた。
「どうした…?苦しい?」
「んんんん……」
「え、どうしよう……ちょっと待って…」
龍星は私の背中をゆっくりとさすった。
私はその優しさが気持ちよくて、朦朧とした意識のなか、そばで座っていた龍星の背中に手を伸ばしてしがみつく形になっていた。
「ううう………」
「えっ、咲羅…?ちょっと待って、マジかよ…」
私はそのまま眠りについた。