第2章 期間限定同棲体験
「はあああああああああ!?なんであたしが龍星と同棲しなきゃならないわけよ!!!!」
思わず大声を出してしまった私の口を龍星が手で塞いだ。
ごもごも抵抗する私に龍星は
「バカっ、でかいんだよ声が!」
と耳元で言った。
回りを見ると、悔しくも“イケメン”の分類に所属する龍星のファンの子達が私のことを怖い目で見ていた
「うっ…」
思わず身震いがした。
「良いから静かに俺の話聞けよ。」
「わかったよ…。」
龍星の話では、明日から龍星の両親が1週間のパリ旅行に出掛けてしまうらしい。
「で、そっからどういう脳のルートを辿って私に同棲をせがんだわけ?」
「ほら、俺、家のこと何にもできないだろ?ましてやメシ作るなんて…」
「やれよ。」
私は自分で作ったお弁当の卵焼きを1つ口に運んでそう言い放った。
その瞬間、残りの卵焼きはお弁当箱から消えた。
「えっ、ちょっ、なに食べてんの!!」
「うっわ…旨い……咲羅が作るもんはいっつも旨いんだよな………!」
ほらまたその手を使う。
これは龍星の必殺技“誉めちぎる”だ。
そしてその必殺技に勝つ技を私は持っていない。
「わかったよもう!しょうがないな…」
(どうやって親に説明しよう…)
こうして明日から1週間の期間限定同棲体験は始まりを告げたのだった。