第1章 塩キャラメルとミルクキャラメル
塩キャラメルとミルクキャラメル2
彼に言われた通り、スーパーの前のガードレールに体重を預けて彼を待つ。
いきなり『ちょっと待ってて』だなんて、私は一体何をさせられるんだろうか…?
ーウィーン
自動ドアが開いて出てきた彼は、私の前で止まる。
「お待たせ。」
「いえ、全然…」
私の返事もそこそこに..絶対聞いていないだろう彼は、さっき買ってきたキャラメルの箱を、おもむろに開きだす。
「?」
私の首が自然と右側へ傾く。
「はい。」
「あ、有難う…」
黄金色の箱を開けて、塩キャラメルを一粒私に手渡す。
…貰っちゃっていいの・・・?
「…食べないの?」
「あっ、い、頂きます。」
慌てて包みを開け、口の中に放り込む。
数秒したら、少ししょっぱい塩キャラメルの味が口内全体に広がってきた。
「美味しぃ…」
「そう、なら良かった。」
満足そうに少しだけ微笑んだ気がした。
「ありがとうございます。美味しかったです。
あの、お金を……」
「別にいい、一つだけだし。」
「でも……」
渋る私に、彼がそっぽを向いて、ぼそりと呟く。
「国見英…」
「え…?」
「青城高校1年、国見英。…あんたは?」
「わ、わたしっ、私は、青山女子高校1年、幸村夕奈。」
何も言ってこない彼を不思議に思って顔を覗き込もうとしたら、それを阻止するかのように、彼が声をあげる。
「今度は……、ミルクの方、ひとつ頂戴。」
「・・・うんっ」
ニッコリ笑った私の顔を見た彼の顔が赤く見えるのは、半分沈んでしまった大きな夕日のせいだろうか……
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『国見ちゃん今日は塩キャラメルじゃないの?』
『別に、気分です。』
『ふーん。そう』