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消えない罪

第1章 失ったモノ


「紘夢君いらっしゃい!
あら、素敵な友だちも連れてきたのね
ゆっくり過ごしてちょうだいね」
『あ、ありがとうございます』
「ここの奥が個室だからそこで読もうか
空さん、あの小説ある?」
「えっと…あっ、あった!はい、どうぞ
わざわざあの子のためにごめんなさいね
ゆっくり読んでらっしゃい」
「身内だしそれに俺、憧れてるしね
ところで今いないの?」
「なんか人と会うって言ってたわ
誰と会うのかしら」


2人が会話してる間、俺は小説を読んでいた
主人公が就任してきた先生と出会い恋に落ち様々な壁に直面しながらも純粋に愛し合ってるラブストーリーだ
初恋をしたことがない俺にとってこの小説はすごく共感できる
俺にも春が来るのだろうか
そんなことを思ってると電話が鳴った
画面を見ると知らない番号だった
不思議に思いながらも電話に出る


『もしもし…はい、榊原千秋の家族ですが
…えっ?わ、わかりました
今すぐ向かいます』
「…?どうかした?
なにかあったのか?
ってちょっ、どこ行くんだ?
送ってやるよ」
『…病院でいいかな?
あのこの小説、貰いたいんですがいくらですか?』
「それは特別な物だからあなたにあげるわ
あの子もきっと喜ぶはず
急がなきゃいけないんでしょ?
早く行ってあげなさい」
『ありがとうございます!』
「!車の準備終わったから行こう!」


お礼を言い急いでヒロの車に向かい病院に向かう
電話の内容が頭から離れない
なんで…こうなったの?


(先程榊原千秋さんが息を引き取りました)


その言葉に俺は後悔してしまう
どうして兄さんが息を引き取ったのか
答えは兄さんの身に何かあったかもしれない
外を見ると雪と雨が一緒に降っている
車に揺られながら貰った小説をひたすら抱きしめた
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