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消えない罪

第2章 初キス


『あの…悠さん?』


なぜ俺はこの人の胸の中にいるんだろう
顔をあげるも目は瞑っている
だとしたら寝ぼけているのかな
にしてもこの体勢は恥ずかしい
離れようと決めた途端、不意に唇になんか当たった


『んぅ…ふぁ…』
「好きだ…ーーー」
『!』


初めてを奪われ何も考えられない
でも僅かに聞こえた声に俺は驚きを隠せない
どうして…この人が兄さんの名前を呼ぶの?
なんで涙が出るんだろう
涙を流してるとムクっと悠さんが起き上がった


「ん…あれ?君?
なんで泣いてるの?」
『…ですか』
「?」
『どうして俺のこと、兄さんの名前で呼んだんですか!
からかわないでください
期待させるようなこと、しないでください』
「ちょ、おい!!」


後ろで悠さんが俺のこと呼んでるけどその声に振り返らず部屋から飛び出し外に出る
ただひたすらに…
必死に走っていたのか後ろを振り向くと悠さんの姿が見えない
ホッとしてる反面、精神的ダメージを受けたような感情が胸の中に確かにある
兄さんはどうしてあの人のこと黙ってたんだろう


『兄さん…どうすればいいんだ?
俺、わかんないよ
誰か教えてよ!』


知らない路上で泣き叫ぶ
叫ばずにはいられない心の叫びを
泣き崩れていると声が聞こえる
誰かを探しているような声を
声の持ち主がだんだん近づいてくる
前を見るとあの人がこちらに向かって走ってきている
声の持ち主はあなただったんですね
立ち上がろうとしてもフラフラして立てるような状態じゃない
身体が冷たくなってるのが自分でもわかる


「大丈夫か?おい!」


悠さんの声が遠くに聞こえる
うっすらと視野が狭くなっていく
俺の身体を支えるこの人に全てを預けるように意識を手放した

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