第8章 花宮視点
思いのほか、板井野は仕事をきっちりとやる。
脅して入れたわりにはだけど。
そして意外と俺たちに、ラフプレーを止めるように抗議してくることは無い。
そのために入ったんだろうに。
ま、入りたてだから様子見ってところか。
板井野は高校受験に失敗して父親がなんとか通信制に入れてくれてたと話した。
原にニートなのって言われ、昼間はマジバでバイトしているしちゃんと高校生していると反論していた。
この間言っていたマジバのお客様ですかという、言葉はこれのせいか。
しかし別にコイツが受験に失敗したわけではないのを、知っている。
キセキの世代に恨みを持つ奴等に入院送りにされて入試に間に合わなかったんだ。
そんな事は何も言わないが。
庇ってるのか?
オモチャにされてた割に、おめでたい奴だ。
板井野の事は、入れてからも調べていた。
それなりに材料は多いほうが、いいからな。
調べれば調べるほど、こいつはいい。
キセキと当たるのが楽しみになるくらいには。
暇なのか、最近こいつは午後から霧崎に来ている。
別に霧崎は部活に力をそれほど入れているわけではないから、午後も普通に授業がある。
その間は図書館にいるらしい。
部外者の割りに、破格の待遇を受けていると思う。