第6章 木吉視点
翌日俺の病室を訪ねてくれた。
包帯をしていない姿は始めてみたので、正直驚いた。
顔には傷一つなくて、綺麗だった。
好代はつるつるした白い肌をしていた。
本当によかったと思う。
女の子の顔に傷が残ってしまったらかわいそうだ。
綺麗だって褒めたら、少し照れたようにした顔が可愛い。
初めて見た好代の笑顔はぐっとくるものがある。
そうしてた方がずっといい。
それなのに、すぐに澄ました顔になる。
でもこれで、目に見えるキセキの罪も消えた。
傷が残っていないのだから。
そのことにほっとする。
責任を取るとか、そういうのをされるのは困る。
傷1つない好代を2度と傷つけない。
そう思ったのに、好代はとんでもない事を言い出した。
「私のことを殴れますか?」
何を言っているのか分からなかった。
だって、殴るだって?
せっかく綺麗になったのに、どうして殴らなくいけないんだ?
また傷が出来てしまうだろう。
真っ直ぐな視線を向けてくる、好代に負けて拳を握る。
殴られるのが好きな人間なんているのか?
好代が嘘をついているとしか思えない。
俺には理解できない話だ。
気を使っているんだろうか。
キセキの世代に。
あんな目に合わされたのに、庇っているのか?