第1章 痛いのは好き
灰崎に告白しようと呼び出す。
目の前には機嫌の悪いそうな灰崎君が!
「んだよ、俺に用って」
うっわ、コーンロウじゃねぇ。
まあ、中学生からんな髪型するわけねぇか。
そういう私は、普通の地味な格好をしてる。
そして話し方も脳内とは違って丁寧だ。
灰崎を前に、私は意気込む。
告白なんてあんまりしたことないから。
「あの、私、灰崎君が好きです。あなたのサンドバッグにしてください!」
「………………………………………は?」
長い沈黙があって、灰崎がだしたのは間抜けた声だった。
「間違えた、付き合ってください!」
それから私は灰崎と付き合うことになった。
灰崎は理想どおりの男だった。
すぐに手を上げる。
私はいつも彼のストレス発散のために殴られている。
そして私は殴られることに快感を覚えている。
お互いがお互いを必要として、なんて素敵な関係。
ただ、殴るときに暴言を吐いてくるのは気に食わん。
私精神的な苦痛は嫌いだ。
ただ、顔を殴ることも容赦ない灰崎を気に入っている。
問題があるとすれば跡が残ることか。
殴られることが好きな私は、殴り跡を消す方法はいくつが知っているが完璧に消えるわけではない。
本当なら見えないところだけに殴られるのがいいんだろうけれど、顔を殴られたほうが興奮するんだから仕方ない。
なので化粧で誤魔化すことにした。
思い立ったが吉日。
即効でドラッグストアに走った。
濃い化粧にあうように、髪も染めた。
染めて化粧して登校した日、同じクラスだった青峰に驚かれた。
「うわ、お前板井野?どうしたんだよ」
彼は高校に入ってからがねらい目。
あの摺れた目、浅黒い拳で殴られたらと思うと、興奮する。
想像してちょっとにやけたが、すぐに顔を戻す。
私は冷たく、「別に」といった。
エリカ様を意識したわけじゃないんだからね。
唐突の変貌に先生は何があったのかと心配されたけど、何もないです。
これが夏休み明けだったら、デビューしちゃったのかなと思われるかもしれないが、私は6月という中途半端な時期にやったから。
でも入試の成績も良かったし、問題行動も起こしていなかったぱっとしない私がそんな豹変を遂げた事は、ちょっと話題になった。
灰崎と付き合っている事が知られると、納得された。
そして分かれるように勧められた。
もちろん断った。