第6章 木吉視点

俺の怪我とは違うというけれど、板井野の方がずっと俺より傷ついたはずだろ？
だって女の子なのに、こんな目にあって。
バスケに復帰できるかどうかとか、俺の事情よりも板井野の方が辛いだろうに、俺を心配する板井野に引かれていく自分がいる。


でもこの子は帝光の、キセキの世代の……。


守りたいと、思った。
好代は本当に優しい子だ。

俺なんかよりもずっと、ずっとバスケが好きみたいで。
そんな好代を救えたらどんなにいいだろうと思う。

もう、男の乱暴されるような目に合わせたくない。
幸せになっていいんだって、教えてやりたい。

もっと大事にされるべきだ。

初めてあったときのような、あの柔らかな声を聞かせて欲しい。

恥ずかしがり屋みたいで、握手をしたあの日以降、聞かせてもらうことは少ない。

あまり表情も声色も変らないタチなんです、って聞いたときは、少し悲しくなった。


そういう立場におかれていたんだろう。