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【黒バス】ああっ君は女神様!

第6章 木吉視点



俺がその少女と会う事はしばらくの間無かった。

会うことはないのだろうかと思っていた頃にあった。
もしかしたら、出てこられないのかもしれない。

顔がぐちゃぐちゃだと聞くし。
だから、顔に包帯を巻いた姿の少女を見た時は、ほっとした。

同時に胸が痛んだ。
あんなにぐるぐる巻きになっている姿を見て。
腫れ物を触るように、扱われている少女を見て、体が動く。

「やあ、ここ初めて?」
「いいえ、前から来ていました。……貴方は、どちらさまですか?」

見た目に反して、と言ったら失礼だろうか。
思ったよりも澄んだ声が聞こえて驚いた。
そうだ、いくら包帯でぐるぐるだからって声まで、変なわけない。

「悪い。俺は木吉鉄平。このー木なんの木の木に、大吉の吉、鉄アレイの鉄に、平社員の平で木吉鉄平だ!!」
「そうですか、私は板井野好代です。よろしく?」
「ああ、よろしく!!」

手をさし伸ばしてきた彼女の手を握る。
大きいと言われる自分の手だが、板井野好代と名乗った少女の手は、華奢で強く握ったら折れそうなくらいだった。
服越しにも分かる華奢な身体つき。
この子が暴行を受けたのかと思うと、可哀想だと思う。

「木吉さんの手、大きいですね」
「そうか、木吉じゃなくて鉄平でいいぞ!俺も好代って呼ぶから。あと敬語も無しだ!」
「そう、じゃあ鉄平君て呼ぶね」

好代の声がどこか柔らかになった。
顔に巻かれた包帯で表情は窺えないが、そんなにいい印象を与える事ができたようで、うれしい。

思いのほかすぐに打ち解けることが出来たようだ。

好代はやはり、噂の少女であたりだった。
リハビリから戻る時に看護師から、話を聞いた。
詳しくは教えてもらえなかったけれど。

今のところ、それほど参ってはいないらしいが、でも油断は禁物だからと。
その神妙な顔つきから、好代は相当酷い目にあったのだと推測できた。

包帯で覆われた顔では好代がどんな表情をしていたのかは分からない。
あの包帯を取る頃には、笑顔を向けてくれたらいいと思う。

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