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【黒バス】ああっ君は女神様!

第6章 木吉視点


膝を故障した。
復帰には少なくとも一年はかかるらしい。
正直、参る。

このまませっかく出来た仲間とバスケが出来ないのかと、気が重くなる。
それだけでなくちゃんと足が治るのかも、不安があった。
弱気になってちゃ駄目だな。
気を取り直して来年には復帰だ!
鉄心と呼ばれることはいまだにむず痒く慣れないが、そう言われた俺だ。
やれる。
心で強く決意した。


「そういや、聞いたか?なんでも女の子で酷い怪我で入院した子がいるんだって」
「ああ、聞いたぞ。複数の男に暴行されたとか!」
「らしいな、前にも暴行された子らしい。馬鹿な子だけど可哀想なもんだ」
「いや、自業自得かもしれんぞ、金髪だったし、ありゃ不良だよ」
「そんな子がいるんですか?」

俺が入院してしばらく、こんな話題が上がった。
入院仲間はみんな俺よりも年上だが、仲良くやっていると思う。
元々じいちゃんばあちゃんに育ててもらっているので、年上との関係の築き方は上手い方だ。
入院中は暇なもので、こういう話は格好の的だ。

「酷い暴行を受けたって話だよ。顔がぐちゃぐちゃだなんて話も聞く。恐ろしい世の中だよ、その子はまだ中学生らしいってのに」
「足も折られてるらしい。まったく親の顔が見て見たいな。どんな育て方したんだか」
「そう言うなよ、しばらくしたらリハビリに来るかもしれないから、木吉君もあったらあまりジロジロ見ないほうがいい」
「包帯で顔中巻かれているっていうし、すぐに分かるよ」
「分かりました。ありがとうございます、教えてくれて」
「いや、いいんだよ。そういえば、最近入ってきた若い先生、あれは……」


また話題が変わる。
よくあることだ。
だけどこの話は頭に残った。

「かわいそうだなぁ」

ぽつりと呟くような声がでた。
中学生の女の子の顔がぐちゃぐちゃになるなんて、かわいそうだ。
複数の男に暴行されたなんて状況、ただ恐怖しかなかっただろう。
それだけでも酷いのに、顔を潰され、足を折られるなんて。
しかもこんな風にある事無い事噂されている。
名前も知らない少女に同情した。
リハビリで会ったら、声を掛けよう。
きっと傷付いているから元気付けよう。
自分より不幸な女の子の存在にどこか安心した。
なんて最低なんだと思い直した。
駄目だな、入院が長引いて気が滅入ってしまっているんだ。
もっと前を向かないと、な!

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