第4章 青峰視点
全中の決勝戦は、完全勝利で終わった。
テツは準決で怪我をさせられて出れなかったけど。
決勝戦だって言うのに、相手は弱すぎて1点も与えない一方的な試合だった。
初めはゾロ目にしようなんて話も出たけど、どうせなら蹂躙しようと言い出した。
赤司がそれに乗ったこともあり、久しぶりにワンマンじゃないパスも出すようなプレーをした。
たまにミスもしたが。
久しぶりのワンマンじゃないバスケは完璧ってわけじゃなかった。
テツが居ないのが悔やまれる。
テツはいればもっとスムーズにパス回しが出来たんじゃないかって思った。
もっと点が取れたかもしれない。
まあ、居なくても勝利は揺るがない。
相手の絶望した顔は、見慣れたものだったが会場も異様な雰囲気に包まれていた。
相手の不甲斐なさは予想してた通りだったから、それほど落ち込みはしなかったけど、こんなに勝ったのにつまらない事に空しかった。
好きなバスケを嫌いにさせる相手を憎く思って、暴言が出たのは仕方無いことだ。
監督から注意を受けたが、俺は間違ったことは言っちゃいねぇ。
あれは相手が悪いんだ。
それを後悔したのは、好代の身におきたことを知ってからだ。
全中も終わって、夏休みも後少し。
俺はその日、好代と遊んで、そのまま別れた。
あの時、家まで送ればよかったと今更ながらに思う。
そんなのは後の祭りだけど。