第4章 青峰視点
好代は俺を恨んだ奴らから、集団で暴行を受けた。
直に帝光に負けた奴も、それ以外のただのノリで参加した奴もいたらしい。
赤司から聞いて駆けつけた先で見たのは、無残な姿の好代だ。
息をしているのが、不思議なくらいに。
駆けつけたバスケ部員は皆言葉を失った。
テツや緑間なんか、好代と親しかった奴は、言いようの無い顔をしてた。
特に灰崎は血の気を無くした酷い顔だった。
たぶん俺もそんな顔をしていたんだと思う。
テツが俺に声をかけたのにも気づかず、肩を叩かれてようやく気づけたくらいだ。
これが僕らの罪だと、赤司は言った。
生半可な強さが、この結果を生んだのだと。
完全な強さを見せ付ければ、こんな結果には成らなかったと。
何のかかわりも無い好代が悪意の標的にされたことに黄瀬も顔色が悪い。
好代への贖罪としてバスケを続けるように赤司には言われた。
どうしてバスケを続ける事が贖罪になるのか、俺にはわからない。
でも、そう言われたらそうなのかと思った。
完全なバスケ。
もう、足元がぐらついて立っていられない。
目の前が真っ暗で、何を支えにしていいか分からなかった。
だから赤司の言葉に縋ったんだ。
好代の惨状から目を背けたかった。
俺のせいだと、思いたくなかった。
だから、その日からがむしゃらにバスケに励んだ。
ここ1年では考えられないほどに。
何にも考えないで、すむように。
しばらくして、板井野からメールが来た。
『大輝君、気にしないでください。私が悪いことなので、無理は禁物ですよ。好きなものを好きでいられるように、願っています。好代」
好代の何が悪いって言うんだ。
悪いのは俺だったのに。
あれだけの目にあったのに俺の身体をいたわる言葉に、思わず涙腺が緩む。
赤司から見舞いは駄目だと言われていたから、顔を会わせないように病院に見に行った。
痛々しく包帯で身体を覆われながら好代は、すやすやと規則正しい寝息をしていて少しだけ安心した。
俺は身体を痛めつけるような練習は止めた。
もうあんな目にあわせない。
俺は、強く決意した。