第4章 青峰視点
転機が訪れたのは、2年の夏頃だ。
そのときの俺といえば、バスケがつまらなくなっていた。
自分でも思っている以上に身体が動く。
何でも出来る気がした。
実際に出来た。
俺だけがコートで動いていた。
楽しいはずのバスケが楽しくなくなった。
俺1人だけが、外された気がした。
部活も休みがちになった頃に、灰崎が問題を起こした。
他校との暴力沙汰だ。
その件に板井野が巻き込まれたことを知った時は、灰崎を怨んだ。
さつきの話では、しばらくは入院するらしい。
見舞いに行こうかとも考えていたが、俺は行けなかった。
対して仲の良くない俺が言っても、板井野が困惑するだけだろうと思ったからだ。
それは、ちょっと嘘が入っていて。
灰崎に一途だった板井野がまだ、灰崎を思っているのか確認するのが恐かったからだ。
ちなみに灰崎は部活を止めなかった。
一回止めたけど、虹村さんと赤司に土下座して戻ったらしい。
あの灰崎が土下座したというのはなんか驚きで、その日は部活に行っとけばよかったと思った。
灰崎は板井野と別れたらしいと黄瀬から聞いた時は、ほっとした。
黄瀬は灰崎に劣るぐらいで、1on1で勝ったり負けたりしているらしい。
俺にも頻繁にせがんでくるが、灰崎に勝ったらというのを条件にしていた。
夏休みがあけ、板井野は普通に登校してきた。
どこもにも怪我はないようで、俺は安心した。
やっぱり女が怪我をしているのは、かわいそうだ。