第2章 灰崎視点
でも、そんな事を言われてしまうこれからはちょっとだけ大事にしてやろうかなって気にもなった。
好意を寄せられると、弱いのだ。
だけど好代で鬱憤を晴らすのは止めなかった。
どうにも俺の気に触るような言動をする。
それは俺が何かしら機嫌が悪いときで、間の悪いことだ。
好代は俺に殴られても蹴飛ばされても俺の側から離れなかった。
しかしその頃には喧嘩を売られても買わないようになっていた。
それは好代から言われたからだ。
「喧嘩するくらいなら私を殴ってください」
バカなのかなって思った。
きっとバカなんだろうな。
俺が試合に出れなくなると困ると思って、そんなことを言っている。
すぐに手が出る俺は、バスケ部の中でも問題視されていた。
好代と付き合いだして、いつでも殴れるようになってから喧嘩が減ったことで俺もとやかく言われることは無くなっていた。
ただ、怪我をしている好代を心配したのか、同じクラスだという青峰が忠告してきた。
赤司からも注意された。
「女の扱いをどうにかしろ」と。
そんな事言ったって、俺だってもう率先して殴りたいわけじゃない。
だけど、無性に殴りたくなる、好代は。
衝動を抑えきれずに殴る。
それでも、好代は俺を非難してくることはなかった。
むしろ、殴られた後の好代は澄ました顔を微笑ませる。
はじめは気のせいかと思ったが、いつも笑っている。
俺に殴られて。
変な奴。