第1章 きっかけ
総「まぁ、そんな焦んなくていいんじゃないんですかい?今のままあいつに告白するより、満足できるくらい自分磨きして、告白はそれからで」
貴「で、でも銀ちゃん、なんだかんだモテそうなんだよね…」
総「焦る気持ちはわかりやすがねィ、こういうのは地道に行くのが確実でさァ」
貴「そっか…わかった。私頑張るよ!」
総「ま、俺も協力するんで」
貴「ほんとに…?今日みたいなのは本当に勘弁なんだけど」
総「心配いりやせんって。まかせなせぇ。じゃあ、俺ァちょっくら寝るんで」
貴「あ…うん。おやすみ」
こいつ、ホントに銀八に惚れてんでな。俺に勝ち目あんですかねィ……
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貴「…ご!……うご!………そうご!」
あれからどれくらい眠ったんだ?の声で俺は目を覚ました。
総「なんでィ。そんなに俺ァ眠りやしたかい?」
だるそうにアイマスクを上げると、総悟の目の前にはバッチリブラウンメイクを決めた桜花が座っていた。
総「お、お前……へぇ……うまくできてるじゃねーか」
総悟は少し驚くと、に顔を近づける。
貴「あ、ちょっと手こずったけど何とかできた!ど、どうかな」
総「元はあれだからあれだけどいいんじゃね?」
貴「あんたってホント素直に褒めてくれないよね」
総「あ、ここのアイラインもう少し長く引くといいらしいですぜ。アイライナーかしな。」
総悟はに顔を近づけ、目尻のアイラインを書き足す。近くで見るは思ったより可愛くて、総悟好みだった。
かわいい……。まぁ、本人には死んでも言いやせんけど。
総「これでいいんじゃないですかい?」
は鏡を見る。さっきより少しだけ大きくなった目を見てははしゃいだ。
貴「え−!総悟うまいじゃん!なんで?」
総「雑誌に書いてあった通りにやっただけでさァ。そろそろ教室戻りやすかい?2限目はじまりやすぜィ」
貴「今日の2限目って…」
総「現代国語。銀八の授業でさァ」
貴「そっか。戻ろうか」
二人は屋上を後にした。なんだかご機嫌なを横目に、総悟の胸はほんの少しチクリと鳴る。