第3章 エースと顧問
たまたま?
ふざけんなよ。
俺ももお前に心乱されてんだ。
「気分転換」しに来たの目の前にお前がいたんじゃ意味ねーだろーが。
近「おい!どうしたんだよ総悟。そんなこえー顔してよー。お前結構銀八と仲よかったじゃん!エロ本貸し合ってた仲じゃん!」
こそこそと総悟に耳打ちする近藤。
そんな近藤を無視して睨み合う銀八と総悟。
近「お、おい二人ともー…」
おどおどしながら落ち着かせようとする近藤。三人の様子を見て土方は近藤を止めた。
土「近藤さん、やめとけ。どうせエロ本の袋とじをどっちが最初に破いたか、みたいなくだらねー喧嘩だろ。それより俺の練習に付き合ってくれねーか?」
そう言って近藤を連れ出す土方。
あの2人は何かあった。
そう察した土方は、総悟と銀八が二人だけで話し合えるように近藤を宥めようとしていた。
銀「どうしちゃったの沖田くん?そんな怖い目しちゃってさぁ。俺なんかしちゃった?」
一見へらへらとふざけたように話す銀八も、目は笑っていなかった。
二人のただならぬ空気を感じていたのは剣道部員だけではない。見学をしに来ていたにも伝わっていた。
貴「総悟と銀ちゃん?何か雰囲気悪いような…」
遠くから二人の様子を眺めていたは、雲行きの怪しい空気を気にしていた。
総悟は、床に置いていた竹刀を握ると、その竹刀を銀八に向けた。
総「せんせぇ、俺と手合わせ願います」
気怠そうに銀八に向かって言う総悟。総悟も銀八も、互いの赤い瞳から目を離さない。銀八は総悟のその言葉に、少しだけ怪しく笑った。
総悟の言葉にざわざわとする剣道部員。土方や近藤も総悟の言葉に驚き、二人に目をやる。生徒が顧問に手合わせをお願いする。この状況に一体なんの違和感があるというのだろうか。
銀八はふっと笑うと、手を叩きながら部員に指示する。
銀「はーい今日はここまでです。みんな気ィつけて帰れよー」
そう言うとその場を去ろうとする銀八。唖然とする部員達。しかしそれを総悟が認めるはずもない。
総「逃げるんですかィ?俺と…」
そこまで言うと銀八は総悟の言葉にかぶせて話し出した。