第3章 エースと顧問
貴「どうしたの?総悟?」
総「…なんでもねぇや。それより、宿題は終わったんですかい?」
貴「う”…ちょっとあんま手につかなくてさ。図書室で土方くんに会って、見学に誘われたから来てみたんだよね」
集中できない。
手につかない。
総「…でしょうねィ」
自分自身もそうなのだ。
だっていつもと違う銀八の様子に気づいていただろう。ましてや俺にとっては恋敵かもしれない。にとっては、想い人と両思いなのかもしれない。奴は「そういう」態度だったし、だって少なからず期待感は増えたかもしれない。
総「まぁ、もう少しで終わるんで暇つぶしにでも見ってってくだせぇ」
総悟が道場に戻ろうとする。すると、反対側の入り口から、銀髪教師の姿が見えた。
総「…銀八!?」
めったに剣道場に来ない銀八が、部員の様子を見に来たようだ。
銀八の姿を見かけた主将、近藤が部員達に集合をかける。
近「しゅ…集合!!!」
部「はい!!!!」
部員達は駆け寄り、円を組むように銀八を囲む。
総悟も集合がかかり近藤達と一緒に駆けていった。
総『年に何回かしか道場に来ねーのに…何で今日なんでィ…』
俺はに目をやる。。やっぱり銀八を見ていた。
近「お願いします!!!」
部「お願いします!!!」
全員で銀八に一礼する。総悟は礼すらしたが、無言だった。
銀「いや、お願いされても困るから。とりあえず練習続けな」
部「はい!!!!」
部員たちはそれぞれの練習に戻っていく。その様子を見送りながら道場を歩き出す銀八。
近「先生!珍しく様子見に来てくれたんですか!嬉しいっす!」
銀「んあ?まーな。たまには暑苦しく頑張ってるおめーらの面見にくんのもいいかと思ってよ」
近「あざす!!」
元気よく返事する近藤を横目に総悟は銀八に詰め寄る。
総「せんせぇ、珍しく道場きたかと思ったら見学ですかィ?何でよりによって「今日」なんでさぁ?」
挑発的な表情で銀八を見る総悟。その問いに銀八は口を開く。
銀「何でって沖田くん、俺一応顧問だからね?今日はたまたま、気分転換だよ」