第3章 エースと顧問
近「今日は何か表情が冴えねぇな。俺にあんなに押されるなんてらしくねぇ。何かあったか」
総「いえ、別になんも…」
総悟は額の汗をタオルで拭くと、近藤から目をそらし水分補給をする。
いつものように精神統一ができない。邪念が集中を途切れさす。
総「ちょっと顔洗ってきやす。」
近「お、おう…」
明らかに態度のおかしい総悟。近藤は長年友達をやってきただけに、総悟の様子にはすぐ気付いた。
貴「近藤くん!お疲れさま!おしかったね」
近「おお!ちゃん!見にきてくれてたの!総悟なら今顔洗いにいったよ!すぐ戻って来ると思うぜ」
土「近藤さん、あんた久しく総悟に勝ってねーんじゃねーの?」
土方は近藤にタオルを渡しながら話す。差し出されたタオルを近藤は受け取り、嬉しそうに話した。
近「おートシ!悪いな!あいつがいつの間にか剣道にはまり込んで、俺より強くなっちまって!何か俺としては嬉しいような悔しいような複雑な気分なんだよな。でも、あいつと剣道できんのはやっぱ俺、嬉しいわ!」
近藤はニカっと笑うと、タオルでゴシゴシと顔の汗を拭いた。その姿を見て思わずはくすっとつられて笑ってしまった。
貴「近藤くんって、何か素敵だね!」
土方と近藤はポカンとした顔でを見る。
土「え……お前、今なんて……」
近藤に至っては声も出ず、口をあんぐりさせている。
自分が何か変なことを言ったのか。動揺するを二人とも見つめていた。
土「俺……生まれて初めて近藤さんが女に褒められてるとこ見たわ」
近「だよね!だよね!?今俺褒められたよね!?素敵♡なんて言われたことねーもん!!ゴリラってしか言われたことねーもん!!」
貴「え…何この人たち怖い」
そんなアホなやり取りをしてると、後ろから総悟の声が聞こえた。
総「何してんですかい??」
顔を洗い終わったのか、濡れた前髪をタオルで拭きながら総悟が戻ってきた。
貴「総悟!おつかれー!試合見たよー!かっこよかったじゃん!」
総悟はから目線をそらすと不服そうに呟いた。
総「今日の俺は調子が悪ィんでィ…」