第2章 関係性
-銀八side-
ただの出来ごごろ。
俺は生徒をたぶらかす淫行教師ではない。
ただ、口封じにいちご牛乳を生徒に渡しただけ…
「せんせぇ、こりゃ何事ですかィ?」
こいつの声を聞いたときにすぐ非常ベルを鳴らした犯人がわかった。
大方が心配でついてきたのだろう。国語準備室の前で俺たちの話を盗み聞いていたのは、沖田の会話を聞くとすぐにわかった。てゆーか、扉の前にいることに気付きながら、わざとと話していたんだけど。
「口止料をエサに、生徒にとんでもねぇイタズラをしようとしていた教師がいたんで、取り締まってたところでさァ」
エサ?いつ誰がエサなんてぶら下げたよ。とんでもねーのはお前だろ。
総悟の元を去った後、銀八は屋上に足を運んでいた。一連のやりとりを思い出し、イライラした様子で銀八はタバコに火をつける。
「なーんで俺はこんな大人になっちまったのかねぇ」
先ほどまで苛立っていた気持ちが、タバコの煙と外の澄んだ空気とで少し落ち着いた。
「俺なんなんだよ、図星かよ」
の気持ちを知っていて国語準備室に呼び出した。自分のテリトリーに生徒という名の「女」を入れた。口止料なんて、ただのエサに過ぎない。総悟に見抜かれ、銀八は苛立ちが抑えられなかったのだ。
タバコの煙を吐きながら、今よりも幼い姿のを思い出す。
「先に出会ったのは俺の方だっつーの…同じ生徒同士ってだけで「俺のもの」面すんな…」
銀八は屋上の柵に両腕を乗せるとそこに顔をうずめた。
「恋愛なんて…めんどくせ…」
小さな声で呟く銀髪の教師が屋上にひとり。
空は青く暗く、染まりかけていた。