第2章 関係性
国語準備室に面する廊下。
未だに非常ベルは鳴り響いていた。
銀八と服部は消火栓の扉を開けると、ベルの音を止めるように作業していた。
音も止まり原因を探る。
服「ったく。誤作動かよ。この音びびるんだよなー。飛び跳ねちまう」
銀「誤作動にしては少し荒いねぇ。」
銀八が腕を組みながら顎でその場所を指す。非常ベルのボタンは少し割れていた。
銀「とんでもねぇイタズラしやがる」
服「誰だー?っとにクソガキ共が!こっちはこの後も仕事あるってのによー!後は頼んだぜ銀八!」
そう言うと服部は手をひらひらさせ振り向かずに去って行った。
「せんせぇ、こりゃ何事ですかィ?」
銀八の背後から聞きなれた声がする。銀八は振り返らずに答えた。
銀「よぉ沖田。部活はどうしたんだ?この時間だともうとっくに練習は始まってんだろ?」
話しかけてきたのは総悟だった。総悟は廊下の壁に腕組みをしながら寄りかかっていると、怪しい笑みで銀八と話す。
総「口止料をエサに、生徒にとんでもねぇイタズラをしようとしていた教師がいたんで、取り締まってたところでさァ。安心してくだせぇ。俺は風紀委員の仕事を真面目にこなしているだけなんで。」
銀八は振り向くと、余裕の表情で総悟に体をむける。
銀「ほぉ。下校時間になっても部活を投げ出してまで委員会の仕事とは、真面目だねー沖田くん。剣道部のエースが練習もせず、校内の風紀を保つ努力とは。先生も君の担任として鼻が高いわー。ただ…」
銀八は総悟に近づくと、見下ろしながら冷たい目線を送る。
銀「非常ベルのボタン殴って壊すとかやりすぎなんじゃねーの?それと、生徒にイタズラしようとしている教師なんて、どこにもいねーから」
それに臆することなく睨みつける総悟。
総「口止料、あいつに払うより俺に払っといた方がいいんじゃねぇですかィ?あいつに何をしようとしたんでィ?」
銀「なに?お前もいちご牛乳ほしいの?悪ぃが俺の貴重な糖分なんで男にはやれねーな」
そういうと銀八は去って行った。
その後ろ姿を睨みつけながら見つめる総悟。
何考えてやがんだ?あぶねぇ教師だ。
「生徒に手出すぐらい暇なら、道場に来やがれクソ顧問」
総悟はひとり廊下でつぶやいた。