第2章 関係性
銀「おっと。国語の答案と金のかかるものはなしな!」
昼休みに総悟に話したことを思い出す。
今まで話したことが無い話をしたら、関係性って変わるんだねって話。
頭をよぎる「教師と生徒」の関係。
私が欲しいものはいちご牛乳でも、ましてやテストの答案やお金のかかる高級品でもない。このもどかしい「関係」を壊したい。
私がほしいものは…
貴「銀ちゃん…わたし…」
ジリリリリリリリリリリリ!!!!!!
廊下から非常ベルの凄まじい音が鳴り出す。
その音に驚き、やっと我に帰ることができた。
「おい銀八!何の騒ぎだこりゃ。このベル切り方わかるか!?」
国語準備室の扉が開く。扉の方を見ると、服部先生が非常ベルの警報を聞きつけ慌てて入ってきた。
銀「いたずらだろ」
銀八はに目をやると、いちご牛乳を持ちに渡す。
銀「悪ぃがいかなきゃならねぇ。今回はこれで頼むわ。じゃ、気ィつけて帰れよ」
貴「あ、うん…」
はいちご牛乳を受け取るとカバンを持ち、廊下を歩き出した。
放心状態のは、フラフラと先ほどのことを考えながら歩いていると、自分が言おうとしたことに顔を赤くさせた。
「銀ちゃんがほしい」
確かに、そう言おうとしていた。
今思えば、何を大胆なことを考えていたんだろうとは頭を抱える。
同時に、非常ベルが鳴り会話を遮られたことに感謝した。でも、もしあの言葉を口に出していたら何か変わったのだろうか。「生徒」としてではなく、「女」として銀八は見てくれただろうか。
そうグルグルと考えながら廊下を歩いていくの後ろ姿を、銀八は見つめていた。
廊下にはまだ非常ベルの激しい音が鳴り響いていた。