第2章 関係性
貴「やっぱり先生と月詠先生はそう言う関係だったんですね…。これでよくわかりました……」
銀「ああ。結構前からな。俺たちヘビースモーカーなもんで、たばこ我慢できないのよ」
貴「…………はい?」
銀「んー?だからーー禁煙区域でたばこ吸ってたことの口止め料だっつってんの!」
貴「...」
私はあっけにとられた。てっきり、月詠先生との密会についての口止料だと思っていた。たばこなんて口実で、二人で一緒にいたことを公言されるのがバツが悪く、口止めしたかったのだと。
だって火のないところに煙は立たないって言うでしょ?
銀「バカ校長がうっせーのよ。職員室でもたばこ吸えねーし、かといって生徒の目のつくとこで吸えるわけもねーし?もーね、ストレスたまっちゃうのよ、色々とイライラしちゃうのよ先生も。」
貴「は、はぁ…」
銀「ちゃんならわかってくれるよね?先生のこのどーーーしようもない気持ちをさ。ばれちゃったらいろいろとめんどーなのよ。」
銀八はたばこの煙をふーーーっと吐くと、の隣に腰をかけ、顔を近づける。窓から照らす逆光で、銀八の髪が白く光る。眠そうな、でも鋭い赤い瞳に目線を送られると、は動けなくなった。
銀「それとも…いちご牛乳じゃたりねぇ?」
銀八はメガネを外すと、甘い視線をに送った。困ったような顔を見せながら少しだけ笑う。その甘い声で、低い声で、私を見つめてくるなんて、先生はずるい。
は近づいてくる銀八の顔を見つめながら、ドキドキした様子で後ずさりする。
銀「は、いつも『銀ちゃん』って呼ぶのに何で今日は『先生』なわけ?なーんか慣れねぇ。」
貴「そ…それは…」
は唇をきゅっと結ぶと、うつむいた。もし銀八が月詠のものなら、もう馴れ馴れしく『銀ちゃん』なんて呼べないと思っていた。いつもと違う態度に、銀八も気付いていたのだ。
俯いてしまったを困ったように銀八が見ると、頭を掻きながら話す。
銀「まー生徒と教師なら『先生』って呼ばれんのなんてあたりまえのことなんだけどね。友達関係じゃねーしな。んで、何が欲しいわけ?口止め料」