第2章 関係性
「なんじゃ、と沖田ではないか。仲睦まじいものだな」
銀八と一緒にいたのは、保険医の月詠先生だった。生徒の間でも度々銀八と月詠の噂はされていた。どう見てもお似合いの二人である。
総「先生方こそ仲睦まじいもんで。こんなところで弁当も食わず何してるんで?」
銀「弁当よりもおいしいもんがあんのよ。たばこっつーもんがよ」
総「ここは禁煙なんじゃないんですかい?」
月「おお、そうじゃった。すまぬが黙っておいてくれぬか。?」
月詠はキセルを口から離すと、に話しかけた。
貴「あ…は、はい」
はうつむきながら返事をすると、話し続けた。
貴「あの…私たち戻りますね!総悟、行こう」
総「あ…お、おい!」
は総悟の手を引くと屋上の出口に向かって歩き出した。
ガチャ!………タン…タン…タン……
階段を降りる音が響く。総悟はに手を引かれたまま、一緒に階段を降りていた。
総「ちょっと待ちな。一体どうしたんでィ?」
総悟はの手を引くと、こちらに振り向かせ両手での肩を掴んだ。の顔は赤い。
貴「総悟………。すき……」
総「え?なんて?全く聞こえやせん…どうした?」
心配そうな顔で総悟はを見つめた。
貴「好きって言えたら、どれくらい楽になれるのかな…」
切なそうな顔でを見る。
総「……好きなのをやめられたら、どれくらい楽になれるんだ?」
貴「……え?……」
総「…言うだけで楽になるならいってみなせェ。俺が聞いてやるから」
貴「…でも総悟は、かぐ」
総「今は関係ねぇだろィ?お前が楽になるってんなら、聞いてやらァ」
総悟はの声を遮り、抱き寄せた。
貴「総悟………。」
総「…うん…」
貴「……すき……」
総「…うん…」
貴「…好きなんだよ……。」
総「…うん…」
の声は震えていて、今にも泣き出しそうだった。いつかは銀八に伝えるはずの言葉。俺はの頭を抱き寄せ、うなずきながら聞いていた。自分に向けられるはずのない言葉を。