第2章 関係性
貴「いや、朝の登校とかもさ、初めてだったし。お互い喧嘩ばっかりするけどそういうのって今までなかったじゃん?私が総悟になんとなく恋愛相談して、んでなんとなく総悟が私をプロデュースすることになって……なんかうまく言えないけど、今まで話してこなかった事を話しただけでここまで関係性って変わるんだなって…。今日のお弁当だってそうだけど、私、総悟の事何も知らなかったんだな。土方くん達や、神楽ちゃん達は総悟の事よく知ってるもんね」
総「何を話し出すかと思ったらそんな事ですかィ。俺ァあんまり自分の事話すの苦手なもんで、弁当や家の事はアイツらには話した事ねぇでさァ」
総悟は弁当に箸を進める。口をもぐもぐさせながらはなし続ける。
総「あいつらに自分をわかってもらいたいとか、家の事情とか、話す必要もねぇでしょう?俺ァそういうの苦手なんで、必要な事しか話さねェし」
貴「え?じゃあなんで私に話したの?その言い方じゃまるで私に理解して欲しかった、みたいに聞こえるんだけど…?」
小さな声でがつぶやく。
総「…?なんだ?何か言いやしたか?」
貴「いや、なんでもないよ」
総「さっさと食いな。昼休み終わっちまうだろィ?」
引き続き口をもぐもぐさせながら総悟は言った。総悟のために作ってきた日の丸弁当もいつの間にかたいらげており、総悟が作ってきたお弁当のおかずはの分をきちんと残していた。
最後の締めにのお茶を飲む。なんだかんだ総悟は優しい。
は今まで誰も知らなかった総悟の一面を、彼の口から聞く事ができ、少し嬉しかった。
暖かい陽だまりが肩を暖める。
その暖かさは、の心の中に感じる温かさと似ていた。