第1章 琥珀色の月【三日月 宗近】
「この身を全てくれてやろう」
三日月の言葉に、私はどうしていいのか正直戸惑っていた。
彼は付喪神である。
神様である彼の全てを人間である私がもらうなど、そんなことがあっていいのだろうか。
「、私の事は嫌いか?」
「えっ?嫌いなんて!そんなわけないじゃない!大好きすぎてこれ以上どうしていいかわかんないくらい好きだよ・・・」
彼が私の元にやってきたのは、審神者になって数か月してからの事だった。
はじめて見た時から、私の心は全て彼にもっていかれてしまった。
そのくらい彼の事が好きなのである。
「それならよい。同じ想いを持っているのだ、何を迷うことがある?一人で抱えきれないのなら二人で分け合えばいいだけの事であろう?私も・・・の事を愛しているからのう」
そう言って、私の事をギュッと抱きしめた。
三日月と私の鼓動が重なる。
その音を聞いていると、なんだろう・・・自然と穏やかな気持ちになってくる。
「ねぇ、三日月。私の全てをあなたに捧げます。心も体も全て。ですから・・・・あなたの全ても私にくれますか?」
精一杯の笑顔で、私は三日月にそう伝えた。
「もちろんだ。三日月宗近の全てはそなた・・・私の愛するだけのもであるぞ」
その言葉を聞いて、私は嬉しくていてもたってもいられなり、自分から三日月の唇にキスをした。
三日月は少し驚いた顔をしていたが、すぐに形勢逆転。
後頭部をしっかりと押さえられて、触れるだけのキスは深い深いキスへと変わっていった。
「ふ、ふはぁ・・」
舌を絡めて、お互いの全てを受け入れようとするようなキスに、私の息は絶え絶えだ。
三日月の全てを感じたくて、受け入れたくて。
今の私はいったいどんな顔をしているのだろう・・・と思うと急に恥ずかしくなってくる。
「ははっ、。そなたは本当にかわいいのう」
と、穏やかな笑顔で私の頬を撫でる三日月の綺麗な指。
その指に、猫のようにすりすりとしてみる。
すると三日月は
「こらこら、そんなことをされたら止められなくなってしまうだろう。それともこれ以上をはお望みか?」
私は、返事の代わりに頬を撫でる三日月の指をそっとくわえた。これで気持ちは通じると・・・。