第2章 Sweet Time~恋のチョコチョコ大作戦~
少しの間抱きしめあっていると
彼女が
「こちらへ」と部屋の奥へと私を連れて行く。
部屋の奥へ進むと、テーブルの上に箱が置いてあった。
これは・・・もしかして・・・
そんな私の思いを知ってか、彼女は笑って
「はい、これは一期の為に作りました。特別な・・・想いがたくさん入っています」
と言って、その箱を私の前に差し出した。
「ありがとうござい・・・ます。開けてもよろしいですか?」
そう聞くと、彼女は「どうそ」とまた笑って答える。
箱の中には、2色のケーキが入っていた。
フォンダンショコラといって、中にチョコレートが入ってるケーキらしい。
「甘い・・・いい香りがしますな」
そう言った私に
「もっともっと甘いのがお好みですか?」
と意味深な言葉を投げかけてくる。
「そうですな・・・もっと甘いもの好きかもしれません」
と私が言うと
「では・・・」
と彼女は言って、テーブルの上にあったチョコレートを一粒自分の口の中へ入れると、そのまま私にキスをする。
そして、そのチョコレートを私の口の中へと移していく。
唇を離した彼女は
「甘い・・・ですか?」と妖艶に微笑んで見せた。
「確かめてみますか?」
今度は私の方から彼女にキスをする。
お互いの口内を、甘い甘いチョコレートが行ったり来たりしている。
それだけでくらくらする。
彼女との口づけだけで、こんなにも・・・・
口の中のチョコレートがなくなっても、キスは止まらない。
唇が離れると彼女はこう言った。
「もっともっと甘い事、しませんか?」
彼女に言わせてしまったのが申し訳ないと思いながらも、言ってくれたことが嬉しくて仕方ない。
「もちろんです、様・・・お覚悟」
こうして私たちの甘い夜が始まる。
チョコレートよりも甘い甘い夜が・・・。
~その頃粟田口部屋では~
「いち兄、チョコもらえたんでしょうか?」
心配そうに聞く平野と前田
「そうですね・・・夕餉の時も何もなかったですし・・・」
と五虎退も不安げに言う。
すると薬研が
「心配するな。いち兄は部屋にも宴会場にもいなかった。たぶん大将のとこにいるんだろう。明日、事情徴収することにしよう」とちょっと悪い顔でそう言った。
「りょうか~い」
他の短刀達も「明日どんなことを聞きますか?」などと楽しそうだ。
「おやすみ。いち兄、大将。」
END