第2章 Sweet Time~恋のチョコチョコ大作戦~
一期一振 (審神者♡一期) *恋人同士
2月14日
乱たちが言うには「好きな人にチョコレートをあげて気持ちを伝える日」でバレンタインデーというらしい。
朝餉の為に大広間に向かっていると
「いち兄、おはようございます!!」と弟たちの声
「おはよう、みんな」
そう答えると、乱が「いち兄~、主からどんなチョコレートをもらえるのかな?もらったら見せてね!!」なんて言ってくる。
私と彼女は恋仲だ。
弟たちも含め、この本丸にいる全員がそのことを知っているので、いやでも興味はそこに集中するだろうと思っていたが・・・。
「はいはい、もらったらちゃんと見せるよ」
そう言うと「やった~~、楽しみ~」と言って大広間に駆けていった。
やれやれ、大変な一日になりそうですな。
そう思いながらも、心の中ではドキドキワクワクしている私がいた。
そんなドキドキを打ち砕く出来事が朝餉の後に起こったのだった。
朝餉の後、彼女はここにいる全員にチョコレートを手作りしたと言った。
1人1人に「ありがとう」と伝えてチョコレートを渡していく彼女。
思いがけない主からのプレゼントに、みんなは大喜びだ。
その様子を見ていると、彼女が私の元にやってきた。
みんなの視線がこちらに集まっている。
そんな視線を気にもせず彼女は
「はい、一期。いつもありがとう」と言って、みんなと同じチョコレートを渡してきた。
「ん?一期?どうしたの?」
彼女の声に我に返ると
「ありがとうございます」
と私は一言だけお礼を言った。
そんな私に、彼女はにこっとだけ笑って大広間を後にした。
「いち・・兄」
乱と厚がこちらに駆け寄ってきた。
「手作りだって。きっとおいしいだろうね。食べるのが楽しみだよ」
そう言うと
「きっと、後でくれるんだよ!特別なチョコレート!」
「そうですよ、いち兄」
と弟たちが口々に言ってくる。
「そうだね、楽しみに待っているとしよう」
そう言いながらも、内心は本当にもらえるのかどうか・・・などとネガティブな発想しか思い浮かばない。
「さあ、片付けて今日の業務に取りかからないと。ほら、乱も厚も自分の所へもどりなさい」
精一杯の笑顔で弟たちにそう伝えると、自分も片づけを始める。
今日は・・・・遠征ですな。
非番でなくてよかったと、どこかホッとしている自分がいた。