第2章 Sweet Time~恋のチョコチョコ大作戦~
主の事を1人の女性として見るようになって半年。
最初はこの気持ちが「恋」だなんて思わなかった。
近侍じゃなかったし、長い時間一緒に居ることが多かったわけじゃない。
でも、接点は他の刀剣達より多かったかな。
一緒に台所に立ったり、万屋に買い物に行ったり。
政府の会議にも、彼女はよく僕を連れて行ってくれていた。
近侍は他にいるのに・・・ね、こんなことが続いていたら気持ちも変わってくるってもんさ。
気づいた時には、僕は彼女の事を好きになっていた。
それがどうにもならない想いだってわかってる。
でも、僕が想っているだけならいいよね?
伝えたりして、彼女を困らせたくないし。関係も壊したくない。
・・・・ただ臆病になってるだけの僕。カッコ悪いな。
今日は確か出陣だったかな。
さぁ、準備しますか。
主・・・今日も君の為に戦ってくるよ。
そして勝利を持って帰ってくるからね。
「お帰りなさい!!」
敵陣から帰ってきた僕たちを、主は笑顔で出迎えてくれた。
「誰一人、大きなけがをすることなく帰ってきてくれてありがとうございます!」
そう言って、部隊のみんなに声をかける彼女。
一番後ろを歩いていた僕の袖をきゅっと引っ張ると
「光忠、お疲れ様。お帰りなさい」と彼女は笑顔で僕に声をかけた。
「ただいま、主。いつもお迎えありがとう」
胸がギュッとなる。
袖を引っ張るとか、他の刀剣達にはやらない事をやらないで・・・勘違いしちゃうから。
僕のそんな思いを知ることもなく、彼女は僕の横を歩いていた。
夕餉の支度は、非番のメンバーがやってくれていた。
なので、僕ら出陣したメンバーは先にお風呂に入らせてもらうことにした。
ゆっくり湯船に浸かっていると、加州くんと大和守くんが今朝もらったチョコレートの話をしていた。
「本当に僕って愛されてるよね!」そう言う加州くんに
「てかさ、みんな同じチョコじゃん。清光だけが特別じゃないって」と大和守くんが言う。
「いいんだって!愛されてることに変わりはないんだから!」と加州くんはとても嬉しそうにしている。
そうだよね。
うん、そうだ。
主は、ここにいるみんなの事が大好きで大切なんだ。
僕以外にも、主の事を特別に思っている刀剣もいるんだろうし。
そう思ったら少し気持ちが楽になったような気がした。