第5章 先輩と彼女
岩泉さんの言葉に頭が真っ白になる
及川さんが…?俺を殺すかもしれない?
理解なんて到底できない
岩泉
「俺には止められなかった」
とても悔やんでいる岩泉さんに俺は何て言っていいのかわからない
岩泉
「及川を止められるのはあいつだけだ。でも、今の及川は何をするかわからない!はっきり言ってお前は身を引いた方がいい」
身を引く…
そんなことしたくない
岩泉
「あいつがいなくなった後、及川は…」
岩泉さんは一瞬言葉を濁したがしばらくして決意を決めたかのように細々と語り始めた
そんな話を聞いても俺にはピンと来ることはなかった
「俺は身を引くなんてこと、しませんから。忠告ありがとうございます」
俺はその場を後にした
教室に戻った俺は授業そっちのけで、さっき岩泉さんに言われたことについて考えていた
岩泉さんの話で分かったこと、やはり及川さんは俺の理解の範疇を超えている
狂っている
常軌を逸している
何がそこまであの人を変えたのか…
そんなの決まっている彼女の存在だ
俺に勝算はあるのか…?
隣の席からふと飛んできたノートの切れ端を丁寧に折られた紙
開けてみると
〈どうしたの?顔色よくないよ?〉
見慣れた字で書かれていた
もちろん書いたのは隣の席である彼女なわけで、そちらを見た
少し心配そうな顔をしてくれている彼女に俺は彼女と同じようにノートの切れ端に〈大丈夫。〉と書いて彼女に渡した