第4章 及川さんと彼女
飛雄
「もうあいつに会わないでください。」
部活終了後、俺のところまで走ってきて、頭を深々と下げて俺に言った
その言葉に俺は何も言えなかった
それから、俺は澪にどんな顔して会えばいいのかを考えると彼女のところには行けなかった
部活もあまり身が入らないため、ミスばかり繰り返していた
岩泉
「何やってんだクソ川‼︎」
挙句の果てには岩ちゃんに励ましの言葉をかけてもらう始末だ
滅多にそんなことは言わない岩ちゃんがそう言ったんだ
岩ちゃんの言葉を胸に俺は病院に行った
病院内を彷徨っていると、飛雄を見つけた
飛雄は俺に気づくことなく、とある病室に入っていった
しばらくすると出てきて、また来る。と言って病室を去った
飛雄が去ったのを見て、飛雄のいた病室の前に立った
そこには島崎澪とあった
まぎれもなく彼女の病室だった
勇気を出して部屋の中へと足を進めた
彼女はそこにいた
ベッドで眠っている彼女
腕や体は機械に繋がれていて、自発呼吸以外はできていないかのように感じた
おそるおそる近づいて、ベッドの横側に立った
無機質な機械の音が、一定の間隔で鳴り響く
俺は彼女の手にそっと手を伸ばした
それと同時に言おうとした言葉は彼女に拒絶されたかのように鳴り出した警報音によってかき消される
それに恐怖を感じて俺はその場から逃げ出した
結局、澪に謝ることが出来なかった