第4章 及川さんと彼女
元カノは俺がいくととても上機嫌になった
『これから昼休みは絶対に私のところに来てね。』なんて、本気で自分は愛されているとでも思っているようだった
そして、長々とくだらない女の話を聞かされた
さすがに露骨に嫌な顔はできないから適当に相槌うってのらりくらりとやり過ごした
ようやく昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴り、『もう行っちゃうの?』なんて言ってる女に手を振り教室に戻った
とても居心地の悪い時間だった
五限目の終わりのチャイムで、俺はすぐさま教室を出て澪のところに行った
「澪、昼休みは一緒にいられなくてごめんね。」
彼女の前の席に座り彼女と話し始める
昼休みとは違いとても癒される
「俺のいない昼休みはなにしてたの?」
『美術室で先生とお話してたよ。』
「あの顧問の先生とずっと?」
『うん、そうだよ。』
それを聞いて安心した
美術部の顧問の先生は女だ
たとえ先生でも男が彼女に近づくのは気に食わない
『そうそう!先生がね、徹くんと私はお似合いなカップルだねって褒めてくれたんだよ!!すっごくうれしかったの』
そう喜んでる彼女だけど、俺は嬉しさよりも嘘をついている心苦しさのほうが勝っていた