第4章 及川さんと彼女
彼女といる時間はとても幸せだった
「及川さん!お待たせしました!」
今もこれから一緒に登校する
付き合い始めてから、登下校は一緒にするようにしていた
気付けばだんだんと澪の周りから人が去りつつあった
彼女も気づき始めていたし、裏では虐められていた
俺はいじめられていたのに気付かなかった
元より、外にいる時は笑顔しか見せないような子で、2人の時には時々不安そうな顏をするくらいだったから
それに、叔父からの暴力が彼女にはあったため、傷を見つけてどうしたのか聞いても
『昨日も、ちょっと…』
なんて濁して終わりだった
その後は、俺も話を直ぐに逸らしていたから気付くのが遅れてしまった
トビオが部活中に話しかけてきた
その話で俺はようやく彼女がいじめを受けている事を知った
影山
「及川さん、澪がクラスの女子からいじめられているの知ってますか?」
そう聞いてきたトビオはとても真剣な眼差しで俺を見ていた
「あんたなら知ってんだろ」
とでも言いたいかのような目だった